投稿日時:2022-04-26

ワイズロード池袋チャーリースタッフの津森です。
スポーツバイクのサイズ調整の要のひとつ『ステム』。ハンドルまでの距離を調整することで愛車を自分好みへと近づけるパーツです。

(ステムはハンドルをつなげるパーツです)
ステムを変えるだけで
「ハンドルが遠くて持つのに必死」なら短く・高くすると楽チンに。「もっとガンガン攻めたいゼ!!」には低く・長くするとレーシーに変身。
お好みのスタイルを叶えるための適切なステムの選び方や失敗しないための要注意ポイントをお伝えします。
初めての方でも、これを見ればステム選びはバッチリです!



目次



今回特にお伝えしたいのはご購入前に各サイズをチェックすること。サイズを確認せずに選んでしまうと取り付けできないほかに、ガタつきの原因になったり無理な乗車姿勢で疲れやすくなったりとトラブルの元になる可能性もあります。

把握しておくサイズはハンドルクランプ径・コラムクランプ径・ステムアングル・コラム側チューブ幅の4点です。詳しく解説します。

1.ハンドルクランプ径

ハンドルを固定(以下クランプ)する箇所です。

現行主流なのは25.4/26.0/31.8の3サイズ。

(左からハンドルクランプ径 25.4 / 26.0 / 31.8 )

そのほかDEDA社の31.7などメーカー独自サイズもございます。

(独自サイズ例)

2.コラムクランプ径

フレームとハンドル周りを繋ぐ箇所で、フォーク直上に突き出たパイプ(コラム)にクランプします。

25.4と28.6がよく使われています。

(左:25.4 右:28.6)


25.4は1インチ規格で旧車やクロモリバイクなどに多くみられるコラム径。現在は1-1/8規格ステムにシム(スペーサー)を噛ませて使う事が多いです。
※当店ではシムと合わせたステムで販売しています
28.6は1-1/8インチ規格で現在主流となるコラム径。独自規格や旧規格のものでない限りはこちらの選択で問題ないと思います。
※当店でもこちらがメインです


その他メーカー独自の31.8(1-1/4インチ規格の通称スーパーオーバーサイズ)や38.1(1.5インチ規格の通称ワンポイントファイブ)などの規格があります。

(左:31.8 右:38.1)

3.ステムアングル

ステムの角度です。乗車姿勢に大きくかかわります。
さらに操作性やヘッドパーツに掛かる負荷にも影響が出ますのでチェックしておきたい箇所です。


シマノPROの代表的なモデル『LTステム』では±6°/±17°/±35°の3ラインナップです。


(左から ±6°/±17°/±35° )


メーカーやお店によっては、90°から引いた角度で表記されることもあります。
・±6°=84°(90−6=84)
・±17°=73°(90-17=73)
このほか多種多様な角度のステムがあるので、詳しくはスタッフまでお尋ねください。在庫がない商品でもお取り寄せ対応いたします。

4.コラム側チューブ長

名の通りコラム側チューブの長さ(幅)です。

実はメーカーによって数ミリの誤差があります。
主要メーカーの各モデルを計ってみました。

【ITM】
・ARIESカーボン
・A RRACOカーボン
・ALCOR80

(左から ARIESカーボン/ A RRACOカーボン / ALCOR80 )
それぞれ計測すると 40.0mm / 39.0mm / 38.0mm と誤差は2mmあります。

【DEDA】
・SUPER LEGGERO
・ZERO100
・ZERO2 
・ZERO1


(上段左から SUPER LEGGERO / ZERO100。 下段左から ZERO2 / ZERO1)

それぞれ 36.0mm / 40.0mm / 38.0mm / 39.6mm と最大で4mmの差があります。

ここが多くの方が見落としがちな部分であり、サイズ選び最大の落とし穴です。ステム交換後、サイズは一見同じなのに何故かハンドルがガタつく…という方はこの微妙な差が原因かもしれません。

選び方

測った各サイズを参考にステムを選びます。
前提として、各クランプ径が同じものなら問題なく使えます。また余計なトラブルを避けるため、原則ハンドルと同一メーカーのステムを推奨しています
では注意点や調整方法など、項目ごとにご確認ください。

ハンドルクランプ径

自転車側のサイズ(ハンドル外径)に依存するため、今お使いのサイズと同じものをお選びください

コラムクランプ径

自転車側のサイズ(フォークコラム径)に依存するため、今お使いのサイズと同じものをお選びください。

ステムアングル

お好みの乗車姿勢をもとに選ぶとよいでしょう。
ステムアングルの求め方は以下です。
ご希望の角度-ヘッドアングル=ステムアングル

詳しくご説明します。
リドレーFENIX-AL(Sサイズ)でステムを地面と水平にしたい場合を例にします。


(リドレーFENIX-AL。±6°の標準ステム装着時)

まずジオメトリでヘッドアングル(バイク前方パイプの角度)を調べます。


(ジオメトリ。カタログなどに表記されています)
※ちなみにこの角度はハンドルの効きに影響します。一般的にロードバイクのヘッドアングルは概ね「74°前後」。それより角度が大きければハンドルのキレが上がり、小さければ安定感が増します。

今回はヘッドアングルが73°で、ステムを水平(90°)にしたいので公式に当てはめると
ご希望の角度(90)-ヘッドアングル(73)=ステムアングル(17)
となり、ステムアングル「±17°」が最も水平に近いことになります。


(±17°のステムを装着するとばっちり水平に!)

ちなみにステム上下を返し、ポジションの上げ下げも可能ですが、ハンドルまでの距離はもちろん、角度が大きければ大きいだけ負荷がかかるので無理のない範囲でおこなうのがおすすめです。

コラム側チューブ長

いろいろなサイズに対応できるため、そこまで気にしなくてもOK。
ただしサイズが以前と異なる場合は、取り付け時に必ず調整してください。

・コラム側チューブ長が短くなる場合
コラムとステムの高さの差(余白)が小さくなります。ここはベアリングを調整する部分で、少ないと不安定になりガタつきの原因に。
対策としてなくなった余白分をスペーサーで補完します。

コラム側チューブ長40.0mmから38.0mmのステムに変更した例です。
そのまま取り付けるとコラム側チューブ幅にともなって余白が2mm小さくなります。


(コラム側チューブ長 40.0mm 装着時)


(38.0mm装着時。短くなった結果、余白がなくなります)
今回は元々の余白が2mmのため、2〜5mmスペーサーを追加。これでガタつきが抑えられます。


・コラム側チューブ長が長くなる場合
長すぎると余白が大きくなりすぎ、ステム固定ボルトにかからず大変危険です。
対策として、適度な余白になるようスペーサーを抜いて調整しましょう。


(長過ぎるNG例)

余談:ステム交換時の注意!

ステムを交換する際に忘れず注意してほしいのが、ヘッドの玉当たり調整。手順を守って取り付けすれば問題ありません。
こちらの動画がわかりやすいのでご参考にどうぞ。

Y’s TV『アヘッドの玉当たり調整』



お客様ご自身で作業が不安な場合、当店での作業も工賃¥1,600-+税(オープンタイプ)で承っております。お気軽にご相談下さい!!


執筆者 ワイズロード池袋チャーリー/津森 弘晃

※商品情報、スタッフの所属店は投稿時のものとなります。